生産者やシェフらが連携し地産地消に取り組む
イタリアンやフレンチなどの洋食で使われる、見た目も華やかな珍しい西洋の野菜。実はさいたま市はここ数年で国内有数の生産地に成長し、さいたま産西洋野菜を扱うレストランも増えています。連携して地産地消に取り組む生産者らを取材しました。
さいたま市内にはイタリアンやフレンチのレストランが200軒以上あり、以前からシェフたちの間で「輸入されたヨーロッパ産でなく、国産の新鮮な西洋野菜を使いたい」という要望がありました。一方、市内若手生産者には「自分たちで新しい価値のある野菜を作り出したい」という思いが。そこで2013年春、生産者、レストラン、卸業者、種苗会社らによる「さいたまヨーロッパ野菜研究会」(北康信会長)が発足。レストランと畑との距離が近いさいたま市の特長を生かし、西洋野菜の地産地消に取り組んでいます。
「1年目は何もかもが初めてで、収穫のタイミングすら分かりませんでした。失敗を重ねながら徐々に品種も増やし、3年目を迎えてやっと、ある程度の収穫量を保てるようになりました」と生産者リーダーの小澤祥記さん。栽培の難しかった西洋野菜を日本向けに品種改良したトキタ種苗(見沼区)が栽培を指導し、シェフや卸業者は使いやすい野菜の大きさなどを意見。生産者同士も協同してよりよい栽培方法や出荷規格を模索してきたそうです。
現在、20~30代の若手生産者約10人が年間40種ほどの西洋野菜を栽培しています。収穫最盛期を迎えたこの時季は特に品種も多く、取材日は約15種の出荷作業を行っていました。花弁も食べられる花ズッキーニ、色鮮やかなビーツ、渦巻きビーツのゴルゴ、黒キャベツのカーボロネロ、スティッキオ、ルーコラ・セルバーティカ、フィノッキオなど。「自分たちが育てた野菜をシェフが使って、料理を食べた人が喜んでくれる。西洋野菜を通じて地元でつながりができ、とてもやりがいを感じます」。
これら西洋野菜は卸を通じて県内のレストランやホテルに出荷。現在の取り扱い店舗数は約1000に上り、浦和駅東口そばの「カジュアルフレンチ アミー」もその1つ。「西洋野菜を使うと料理が華やかになり、お客さんとの会話も弾みます。さいたま産は新鮮で味が濃いので、素材そのものの味を楽しめるよう工夫しています」と合田友祥シェフ。
ほかアズーリ・クラシコ、トラットリア・アズーリ、バール・トラットリア・ディアボラ、ビストロやま、ペペロネ、リストランテ・オガワ、アルタビスタガーデン、パレスホテル大宮、ロイヤルパインズホテルなどでも取り扱い。詳細はさいたまヨーロッパ野菜研究会のHPまたは事務局(さいたま市産業創造財団内。電048・851・6652)へ。